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「博物館館長の生い立ちとおすすめ本は?」  

小松市立博物館は昭和33年に開館して、現在の建物に移転したのは昭和45年です。移転当時、1階は市民ホール(市民の憩いの場)、2階は博物館、3階は図書館でした。昭和56年に現在の小松市立図書館が完成し、2階と3階が博物館になりました。平成7年に1階が市民ギャラリールフレに改装されました。

常設展示では、小松城や北前船、九谷焼などの人文資料や、植物化石などの自然科学資料を展示しています。また、平成28年に「『珠玉と歩む物語』小松~時の流れの中で磨き上げた石の文化~」が日本遺産に認定されたことにともない、石の文化の常設展示を始めました。企画展も随時行われています。

詳細については小松市立博物館のホームページを見ていただきたいのですが、今年の4月からホームページの改修に取りかかっていて、今後は写真を増やしたり動画を流したりできるようにして情報発信を充実していく予定です。

現在、この小松市立博物館の館長を務める津田隆志さんに自身の生い立ち、未来型図書館に期待すること、「おすすめ本・好きな本」についてインタビューをしてきました。

学生の頃は野球少年だった津田館長。小学生のとき豊臣秀吉に興味がありましたが、それほど歴史好きではありませんでした。高校生のとき日本史の授業が面白く感じ、大学入試で浪人をされましたが予備校でも日本史は勉強していて面白かったそうです。大学では主に江戸時代や近代の歴史を学ばれていました。

卒業後は教員か学芸員になろうと考えましたが、その当時は教員採用試験の倍率が非常に高く教員になりにくい時期でした。そのときちょうど小松市の学芸員の募集があり、学芸員資格を持っていた津田館長は募集に応募し、学芸員として採用されました。

未来型図書館への期待をうかがったところ、津田館長個人の考えとして「気軽に立ち寄れて、気軽に過ごせる図書館になってほしい。調べ物をしたいときには調べ物をして、くつろぎたいときはくつろげる場所になってほしい」とおっしゃられました。

未来型図書館構想の中で博物館の機能を含めた複合型図書館とする議論もありますが、その場合はかなり大きな施設が必要であり、近隣の美術館も含めた検討が必要であるともおっしゃられました。

津田館長に「おすすめ本・好きな本」をうかがったところ、「われに千里の思いあり 風雲児・前田利常」(中村彰彦著、文春文庫)を挙げられました。前田家三代当主・前田利常の生涯をドラマ風に描いてあり、気軽に楽しみながら読むことができる点がおすすめだそうです。津田館長は3回くらい読んでいて、何気に広げて読み始めるとずっと読んでしまうそうです。

前田利常は江戸時代の前期に隠居地とした小松に移り、今につながる小松の礎を築いた人物であり、小松市民も興味を持っている人物であろうとおっしゃられました。

他にも興味深い話をいろいろうかがうことができましたが今回のインタビューを行って、小松が持つ様々な歴史的遺産について分かっていないことがあまりに多いと痛感しました。今住んでいる町を築き支えてきた歴史を今一度学んで知る必要がある、きちんと身に付けたい、そのように思ったインタビューでした。

ところで、博物館といえば先日国立科学博物館が運営費を集めるためにクラウドファンディングを実施したことが話題となりました。小松市立博物館とは規模も展示内容も異なりますが、先人が築き残してきた歴史や文化、研究で見出した知見や技術はしっかり保存して次の世代へと引き継がなければならない、博物館はその役割を担っている場所であると強く感じました。

饒舌に熱く語る館長
館長とともに(博物館前にて)