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令和6年度第5回リビングラボのテーマは「リビングラボの小松モデルを考えよう!」
令和6年度の最終回を令和7年2月2日(日曜日)に開催。今回は過去最高となる約100名の皆さんにご参加いただきました!
最終回も参加者の方々に司会を務めていただき、和やかな雰囲気のなかリビングラボがスタート!
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冒頭、宮橋市長よりご挨拶をいただきました。
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宮橋市長からは、
「今年度の最終回となるリビングラボに多くの皆さんにご参加いただき感謝したい。令和3年度から取り組みを進めてきたが、初年度は講演会を開催し、最新の図書館について学ぶ機会などを設けた。令和4年度からは、ワークショップ型で対話を重ねながら取り組んできており、3年間が経過した。「市民と共に創る未来型図書館」の実現のため、対話を重視したリビングラボを中心に取り組んできたが、3年間も対話を続けながらプロジェクトを進めているところはなかなか無いのではないかと思う。市民の皆さんが図書館や博物館、芦城公園など様々なテーマに対して思いを共有しあい、まちづくりについても考えるきっかけにも繋がった。それは小松市にとって大きな強みになっていると感じている。」
「今回は『リビングラボの小松モデル』を考えていきたいと思うが、今回、デンマークより安岡美佳准教授にもお越しいただいており、基本計画づくりのアドバイザーの一人としても加わっていただいている。」
「事業の進捗については、未来型図書館は2030年の開館を目指しており、開館までまだ5年ほどあり、少し長いと思うかもしれないが、公会堂や博物館を解体し、建設するための時間をしっかりととらないといけない。いよいよ解体を進め、建設に移っていくが、芦城公園が今までの形ではない姿に生まれ変わり、小松市にとっての新しいスポットになっていくことは間違いなく、『小松の新時代の象徴』となるような施設になる。未来型図書館という図書館や博物館機能も持った新しい市民の活動の場、学びの場、出会いの場、未来をつくっていく場という位置づけで取り組んできたが、それらを体現できるように引き続き取り組んでいきたい。年度内に基本計画をまとめるが、これからがまさにリビングラボを小松に根付かせていくためにも重要な時期になる。来年度以降もリビングラボを通じて開館を目指して皆さんと取り組んでいきたい。」
とのご挨拶をいただきました。
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続いて、リビングラボのコーディネーターを務めていただいている青山学院大学の野末俊比古教授からは、
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「みんなが一つになれる場やみんなで創っていくという感覚は大事であり、開館までの約5年間は、あっという間であり、出来上がったらとても嬉しいと思う。みなさんが活動される姿が目に浮かぶようである。また、これまで3年間、これほどじっくりと丁寧に取り組みを進めてきている自治体は珍しいように感じている。基本計画づくりも市民の皆さんと時間をかけて取り組んでおり、『未来型』という言葉もとても魅力的であり、みんなで育てていける場に携われていることを嬉しく思っている。」
とのご挨拶をいただきました。
続いて、市の事務局より現在取り組んでいる「基本計画」の進捗状況とこれまでのリビングラボの振り返りを行いました。
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年度末の基本計画策定に向けていよいよ大詰めを迎えています。最新の情報は下記の市ホームページをご覧ください!
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毎回、リビングラボの開催内容や結果については、リビングラボの参加者である市民の方が「グラフィックレコーディング」として素敵にまとめてくださっています。いつも本当にありがとうございます!
そして、いよいよ、今回のリビングラボのために小松市にお越しくださったデンマークロスキレ大学の安岡美佳准教授による講演のお時間に!
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安岡准教授からは、北欧のリビングラボやこまつリビングラボについて感じている点などについてお話いただきました。
「こまつリビングラボとの出会いは、2023年の5月に市よりメールをもらったことが始まり。今日は北欧のリビングラボとリビングラボとは何なのか?なぜ小松市のリビングラボが魅力的であるのか?といったことをごちゃまぜにしてお話したい。小松市のお話を聞いていると日本でも様々なところでリビングラボの試みが進められているが、非常に魅力を感じるところがたくさんあった。それはなぜか?については、まだきちんと解明できておらず、今日その一端を皆さんからフィードバックや意見をもらい探していきたいと思っている。」
「2023年11月には、実際に小松市を訪問し、職員の皆さんとの意見交換を行った。『なぜ小松市のリビングラボが面白いのか、素晴らしいのか』といったことについて、自分なりに考えてポイントをまとめてみた。注目要因は3つある。1つ目は「自律した市民」、2つ目は「明確なビジョン」、3つ目は「優秀な熱意ある人たち」。1つ目の「自律した市民」については、「じりつ」にはいくつか漢字があるが、「自律」は、自身を律するのみならず自分から何か物事を動かす、進めていくような意味合いを含んでいる。様々話を聞いているときに、なぜリビングラボにこんなにも市民の皆さんがたくさん参加するのか?といった部分に興味をひかれた。地域のアクティビティの話なども聞き、どうしてこのアクティビティが起こっているのかについても興味をひかれ、市民が緩やかなコミュニティをつくったり、展示会なども積極的に開催するほか、自治体と密に連携して活動を行っていることがたくさんあることを知った。自身は東京生まれ・東京育ちであり、ある意味都会に住んでいて、自治会や近所付き合いについてあまり考えたことがなかったが、自分が自治を初めて体験したのがデンマークである。デンマークでの生活において、みんなが連携して新しいことを始めることができることに気が付いた。すごいなデンマーク!と思っていたら、なんとここ(小松)にもあるではないか!との驚きがあった。そして、2つ目は市長が公約として掲げていたり、3つ目のように熱意のある人が1人ではなくたくさんいて、その人たちが連携して何か一つのプロジェクトを進めている点が非常に興味深いと感じている。」
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「また、昨年2月には、オンラインで小松市のリビングラボに参加。オンラインで参加したが非常に楽しかった。「参加する」ことについては北欧でも様々な議論がなされており、様々な工夫が凝らされている。まず小松のリビングラボに参加してびっくりしたのは「寸劇」である。たしかに小学校の時などに行っていたなという記憶があり、寸劇という日本の社会に根付いている参加のメソッド、情報共有のメソッドをすっかり忘れていて、デンマークでも同様のアクティビティがあるが、それよりも寸劇の方が身近に感じられるものがあり、実際に社会に根付いているようなメソッドが日本にきちんとあるのではないかということに改めて気が付いた。そのほか、ファシリテーションの力や参加者が小松のことを熱心に考えていること、2040年ビジョンに描かれている「ウラ日本」のキーワードもとても良いなと思っている。テクノロジーについても北欧でもテクノロジーを使おうという試みはたくさんあり、導入もされているが、小松ではもっとスムーズに、楽しんでみんながテクノロジーをうまく使っている印象を受けた。」
「リビングラボとは何か?というお話は去年の今頃もさせていただき、様々なところで書いたりもしており、北欧のリビングラボについて日本語での発信も行っている。リビングラボとは何か?といったときに、ビジュアルで見せるのは難しいコンセプトであり、自身が良くお見せしているのは次のスライドのような写真。」
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「写真だけではよくわからないかもしれないが、小松のリビングラボもビジュアル的にはワークショップの様子を写真で見せることが多いと思う。スライドの写真も実際にデンマークで行われているワークショップのひとつで、コペンハーゲンのアパートの水害対策の時に生まれたリビングラボの取り組みのワンシーンである。集まっているのは、アパートの住民とコペンハーゲン市の人、デザイン事務所の方など。また、リビングラボのキーワードとして「リビング」は実生活の場所で、「ラボ」は試しながらモノやコトをつくっていくこと、つくり続けるといった点があり、そのプロセスをひっくるめて北欧ではリビングラボといっている。体現として現れるのがワークショップかもしれないし、それが続いていく、変わっていく、さらにそこに「共創(Co-Creation)」が加わり、一部の人ではなくそこに関わる様々な人たち、市民やユーザー、自治体、研究機関、システム開発をするような人たちが何らかの自分のスキルを持ち寄って、集まりながら課題解決や価値創造を行っていくことがリビングラボであると捉えられている。長い間それを積み重ねていくことが鍵になり、例えば、AさんがいてBさんがいる時に、Aさんの意見をBさんが聞いて、Bさんが少し変わっていくことなどを想像してほしい。何かしら一つのアウトプットを出すときにAが考えている考えにBさんを引っ張ってくるのではなく、AさんとBさんがディスカッションしていくことでお互いが少しずつ変わっていき、アウトプットとしてはCやB´などが生まれる。そういうところを目指していくことがリビングラボであると考えている。」
「このような定義はわかりにくい部分もあると思うが、どういう風に伝えるとリビングラボのコンセプトを様々な人に分かってもらえるのかといったことについて、研究者や友人と模索しており、リビングラボのマニフェストを8個考えた。日常生活の一部として取り組んでいこうとか、長期的な視点で単発のワークショップで終わらないような仕組みづくり、新陳代謝が見られるコミュニティ学習の場も大きなカギとなっている。」
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「ここからは、皆さんに聞いてみたいことを質問し、自分が感じているもやもやの解決に繋げていきたいと思う。私が小松はすごいぞ!と感じていることを解き明かす質問であり、一つの目的があって聞いている質問である。」
と、講演の途中には「安岡美佳准教授のみんなに聞いてみたいこと!」コーナーのお時間も!
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参加者の方との対話の時間もとっていただきました。
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「小松のどこが好き?」という質問については、大学生より、「たくさんあって選びきれないが、小松には海もあって山もあってどちらの自然も楽しめるところが好き。10分くらいで海にも行けて木場潟に行けば白山を見ながら散歩ができたりする。どこか旅行に行ってもやっぱり小松が良いなと思う。」との声もありました。
安岡准教授からは、
「この一連の質問は「シビックプライド」を調査する際に使われる質問である。シビックプライドは日本語でいうと「地元愛」や「郷土愛」と繋がると思っており、地域やコミュニティに対して感じる誇りや愛着を表している。地域の歴史や文化、イベント、自然環境、そして住民同士のつながりなどから生まれるもので郷土愛が高いと地域社会への参加意識が高まり、コミュニティがうまくつくられると理論的にはいわれており、小松にまさに感じているのが郷土愛、シビックプライドである。」とお話いただきました。
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また、未来型図書館などの公共施設に関係した「公共スペース」の問題についてもお話いただき、北欧のストリートの写真を紹介いただきながら、北欧では夏にストリートの真ん中にテーブルを持ってきてみんなでご飯を食べる会があちこちで開催されるそう。そこに様々な人が集まる場所をつくったりしており、公共スペースがきちんとデザインされていることでコミュニティの絆を強め、住民の生活の質(QOL)を向上させる役割を果たすことを伺いました。
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「コミュニティのイベントや活動はありますか」との質問に対しては、参加者の方より「自治会などほぼ毎月のようにイベントがある。参加は自由だと思うが子どもがいるので参加しており、企業や酒屋さんが参加したり、みんなでバーベキューをしたりとこれまでの地域ではなかった出来事でびっくりした。」との回答が。
安岡准教授からは、
「自分自身もこれまでいたコミュニティではみんなで集まるといった機会がなく、小松で自然と行われていることを知ってびっくりした。「強い紐帯・弱い紐帯」という考え方があるが、人間関係がコミュニティの充実や人々のQOLを高めるためには重要で、強いのも必要で弱いのも必要といわれている。強い紐帯があることで、コミュニティ内の結束力を高め、長期的な協力関係を築くのに役立つが閉鎖的になるマイナス面もあるという認識も大切。弱い紐帯があることで、新しい情報やアイデアをコミュニティにもたらし、創造性や革新を促進させることができるといわれている。小松で行っていることもここに表されていることに近しいと思っている。デンマークに住んでいる自分を温かく迎えてくれるこのコミュニティ、外からの人もたくさん入り込んできて様々なアイデアジェネレーションを行っている小松のコミュニティが面白いと思っている。」とお話いただきました。
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また、最後のまとめとして、
「リビングラボについてよく聞かれる質問について考えてみたい。1つは、リビングラボは誰が主導するのか。トップダウンなのかボトムアップなのかということ。私は両方必要だと思っており、日本のリビングラボはどちらかというとトップダウンのケースをよく見聞きしているが、誰かが引っ張っていくことが大事であると同時にその影響力を隅々にまで広げていくにはトップダウンでは追いつかない部分もある。実際にボトムアップで誰かがこういうことを行ってみたい!という小さなアクティビティがたくさんあって、トップダウンでサポートする仕組みがあることも重要であると考えている。
実際にリビングラボがどうやって始まるかについては、取り組みたいなと思った人が始めると良い。市で取り組みたいと思う人がいればそこから始めれば良いし、何かしらこういったアクティビティを行ってみたいという市民がいればそこから始めれば良いし企業の人で余力があるならばそこから始めれば良い。そのなかでどういった人たちを集めてくるか、どういうプロセスを踏んでいくかというところがその後の鍵になってくる。」
「また、リビングラボに箱は必要か?という点については、リビングラボというオフィスや部屋、建物をつくったと話されることが多い。リビングラボはコンセプトの部分も多く、目に見えるカタチで表すことが難しい。ただ、リビングラボのコンセプトは重要だが、箱があっても無くてもどちらでも良い。デンマークではお散歩グループがリビングラボといわれているケースもある。みんなが集まって公園をお散歩する全体のこと、そのアクティビティをリビングラボと呼んだりもしている。そういったカタチもあっても良い。ただ、場所があることでみんなが集まれる、そこで何かのアクティビティが生まれる、アクティビティが行われるので行ってみようという気になり、物理的な場所があることを否定するもではない。ただ、箱があってもそこに思いがなかったら何も動かないし始まらない。箱は無くても良いがあるとうまく機能するかもしれないしそういった姿を未来型図書館で見てみたい。」
「最後に、リビングラボに重要なのは当事者であるという点について、だいたいこれまでは、当事者の存在が忘れられがちであった。例えば高齢者施設をつくる際に高齢者が参加してデザインするかというとそこまでには至っていなかった。実施したとしてもインタビューを行うにとどまっていたと思う。実際に当事者が一緒に議論に入ってどういう建物・サービスがあったら良いかを考える必要がある。逆に日本のリビングラボを見ているとそこにばかり目がいっている気もしている。もちろん市民の参加も重要であると同時に自治体や大学が参画していることも重要。当事者を忘れてはいけないが、当事者だけでは動かないので、様々なスキルを持った人を集めて運用していくことがリビングラボだと考えている。」
とのお話を伺い、参加者の皆さんと一緒にリビングラボについての理解を深める時間となりました。
安岡准教授による講演の後は、宮橋市長や基本計画のアドバイザーの皆さんによるトークセッションを行いました。
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トークセッションの進行は、コーディネーターの野末教授に務めていただきました。
(野末教授)
「令和5年度からリビングラボを立ち上げ、「市民と共に創る」プロセス自体をリビングラボとして進めてきており、未来型図書館や芦城公園との一体的な活用などについて考えてきているなかで、未来型図書館の中心となるものがリビングラボであり、新たな施設の中心的な位置づけになる。2030年の開館に向けて5年ほどあるが開館までの期間や開館後にリビングラボをどんな風にしていきたいのかについて皆さんとアイデアを出し合っていきたい。前半は安岡准教授のお話を受けて感じたことなどについて、後半はリビングラボの将来像や未来像について語り合いたいと思う。まずは宮橋市長からお話を伺いたい。」
(宮橋市長)
「安岡准教授のお話を聞いて様々な気づきがあった。最後にトップダウンかボトムアップかといったお話もあり両方が必要という点はまさにその通りだと思う。未来型図書館やリビングラボの取り組みを進めていくときには、いきなり始めることは難しく、まずは市として場を整えて、このような機会を設けてきた。対話の場はまちづくりにおいて重要であり、正解のない時代の中で市長や市の職員、専門家が考えていることが必ずしも正しいこととは限らない。普段考えていることや考えてもなかったことも含めて、みんなが思っている様々なことが集まることが面白く、対話の場をまちづくりに活かすべきだと感じている。意図的に、未来型図書館づくりだけではなく、イノベーションファシリテーター養成講座のような対話の場をリードするような人材育成を目的に3期目まで行ってきており、未来型図書館づくりだけでなく、地域交通のワークショップ時もそういった機会をつくってきた。そうしたなか、『小松をつなげる30人』という自身も取り組んでみたかったことが市民の中で動きだしてきた。そういったものが自然と動き始めていることがこの4年間で変わってきている部分だと思う。こういう機会をつくっていこうと意識してきたことで、当たり前のようにそういった機会が市がつくらなくとも、対話の場を必ずつくろうとか、対話の機会を民間側から大きくしていく動きが出ている。これからも市としてもそういった場や機会をつくっていくことがあると思うが、そういったものが当たり前の文化になってくると良いしその息吹が確実に出てきていると感じている。」
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(野末教授)
「せっかくなので、『小松をつなげる30人』のお話について、少し紹介いただきたい。」
と、野末教授の紹介により、リビングラボに参加いただいていた『小松をつなげる30人』のメンバーである方にお話いただきました。
(小松をつなげる30人のメンバーの方)
「現在、第3期イノベーションファシリテーター養成講座を受講している。今、有志が集まって「小松をつなげる30人」という一般社団法人を立ち上げて活動しており、民間や行政、NPO法人など様々なセクションにいる方々をつなげて、小松市を盛り上げようというのが大きな目的。各セクションで活躍している人がそれぞれいると思うが、一緒になって越境していくことが難しい環境だなと感じている。渋谷だったり広島だったり京都でこのような活動が展開されているが、それを小松で起こしたいという話を先輩からいただいて一緒に立ち上げた。協力いただいたメンバーも今日参加している。市長ももともとファシリテーションの勉強をされており、市とも一致団結して進めていこうと協働して取り組んでいる。4月から活動のプログラムもスタートする。」
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(野末教授)
「安岡准教授がお話されていたトップダウンとボトムアップが両方大事という部分が小松はできていると感じたが安岡准教授はどのように感じたか伺いたい。」
(安岡准教授)
「もしかするとトップダウンという言葉自体は違うかもしれないが、まさに面白いと思っているところは、両方からの動き、多面的な動きがあるところ。まさに今のお話が示しているように思う。市長のお話のように行政ができることは舞台づくりなのかなと思う。他の人たちが参加したり、コネクションをつくりやすくしたり何らかのサポートやリソースのサポートだったりがあると挑戦したいと思った人がアクションしやすくなるのではないか。北欧もよく市民参加が盛んな国といわれるが、そういう仕組みが1930年代頃からあって、それが機能しており、市長のお話のような枠組みが社会に根付いていることが大きい。まだまだ市民や行政ができることがたくさんあると思う。」
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(野末教授)
「続いて、杓谷教授にもお話を伺いたい。」
(杓谷教授)
「小松というまちは、2000年の歴史のなかで、ここで住んでいる人たちが外から来る人を排除せずにどんどん受け入れて活発に活動するすごさがある。町内や校下での活動もあり、校下単位の活動は珍しい。地域の単位がそれぞれあって、外の人も受け入れながら機能している。それが小松のすごさの元になっているように思うし、それが郷土愛を醸し出している。小松は、ものづくりで発展してきており、同じ場所でずっと発展を遂げており、こういった場所で、未来型図書館ができて、郷土愛をさらにパワーアップさせていく余地がまだまだたくさんあるし可能性にあふれたまちであると思う。共創や世代間の共創、よく路地裏という言葉を自身は使うが老若男女が集まってわいわいする場所をつくりながら小松のシビックプライドを高めていく可能性を感じた。」
(野末教授)
「路地裏は良い言葉であると感じる。小松のリビングラボの活動がなぜ面白いかといった部分が杓谷教授のお話にもあったように思うが安岡准教授はどのように感じたか。」
(安岡准教授)
「比較して見えてくるものがたくさんある。中の人たちにとっては普通のことが外から見ると意外なことがたくさんある。外から来た人はどんどん伝えていかないといけないし、強い紐帯、弱い紐帯の話にもつながってくると思う。」
(野末教授)
「そのバランスが非常に良いのだと思う。昼食を安岡准教授や市の職員の方とご一緒したが、小松市は人口がちょうど良いという話をしていた。たまたますれ違った人と挨拶することが自然と起こるちょうど良い感じ。海と山もあり中心地が平らであることも珍しい。移動がしやすいし人間関係がフランクになる。続いて吉田氏にもお話を伺いたい。」
(吉田氏)
「自身が手掛けている九谷焼のブランド『九九谷』は、九谷焼の商品をつくっていて、様々な方から九谷焼の商品を開発したいとのお話もいただきながら会社を経営している。アドバイザーについては市民の一人として参加している。自身も小松に移住して5年目。家族もいて子どももいる。親も呼んで3世代で住んでおり、3世代が利用しやすくなるような施設になってほしいと思っている。安岡准教授のお話を聞いて納得しており、皆さんと一緒だと思うが、リビングラボとは何か、未来型図書館とはどんなものなのか、他に任せる部分もあれば自分が参加して創造できるワクワク感もある。そういったワクワクしているが見えない部分を安岡准教授に説明いただいて安心感を抱いた。リビングラボはこのように進めていって参加したら良い、ライトな気持ちで良いという安心感を抱いた。また、根幹にあるのは、QOLだと感じた。生活の質を高めたいという思いはみんな一緒。そういった場を未来型図書館を通じて創造して、創造を重ね合わせて具現化していったり、みんなで小松の質、自分の生活の質を上げるきっかけや出会いの場がリビングラボであると感じ、ワクワクして毎回参加している。安岡准教授のお話を聞いてリビングラボがいつもより見えてきたように思う。」
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(野末教授)
「安心という言葉があったが安心感をもって臨めることは大事であり、とても重要なキーワード。安岡准教授はどのように思うか。」
(安岡准教授)
「リビングラボは様々なカタチがあって良い。基本的にあるコンセプトや何がしたいのか、毎日の生活を充実させたりQOLを高めることであったり、そのためのツールとしてリビングラボというアプローチがある。ここでつくっていくのはリビングラボの「小松モデル」なのかもしれない。シビックプライドと郷土愛という言葉があるが、みんなに根付いているからこそ出てくるようなものもある。外の視点などは参考に、私たちが小松で重要だと思うことについて足元をみつめて、小松のリビングラボのモデルをつくっていってほしい。」
(野末教授)
「今日のサブタイトルも小松モデル。まさにそこに辿り着く。リビングラボのこれからについて少しお話を進めていきたい。これまでの取り組みを振り返りつつ将来像や展望などについて伺いたい。まずは宮橋市長からは、まちづくりの視点でリビングラボの可能性や期待することを伺いたい。」
(宮橋市長)
「これまでを振り返ると、簡単に乗り越えてこられたと感じている。様々なテーマで取り組んできたが、そのテーマに対して想像しているものを簡単に乗り越えられた。自身も様々な場所を見てきたので、あのタイプの施設だという風になりがちだが、同じようなことを言っているが表現が独特であったり、毎回想像を簡単に超えてきたように思う。市民の皆さんの普段頭の中にあることであったり、誰かと話したことで化学反応がおこって出てきたことは面白く、まちづくりの課題解決に取り込んでいかないといけない。未来型図書館づくりという部分で進めてきたが、様々な地域課題を考えていくときに、リビングラボで行政が進めたいことではなく、住民が解決したいことや関係性をみんなでつくっていくと面白いことが様々なところで起こると思う。ワクワクするような話もある一方で、人口減少などにより目をそむけたくなる地域課題もある。そういった部分もリビングラボを通じて行政が進めたいこととそうではない部分の押し問答ではない良い関係性のなかで、地域の課題解決につなげていける可能性がリビングラボにはあると思う。」
(野末教授)
「様々な地域課題をみんなで解決していく場は重要である。振り返ると専門家が悩む問題も皆さんの知恵ですっと乗り越えてきたことに感動している。答えはやはり市民の皆さんの中にあることを痛感した。杓谷教授や学生にも参加いただいているが若者の参加、多世代が参加し、みんなが主体となるリビングラボのあり方についてコメントいただきたい。」
(杓谷教授)
「未来型図書館を整備することで集まっているが、アドバイザリーボードでも会議しているなかで、未来型とはそもそも何かという議論もしており、未来型はパワーワードであり大事にしなくてはならない言葉。ぱっと思い浮かぶ未来型はテクノロジーなどだと思うが、開館後の5年後にそれが本当に未来型でいられるのか、その時には現在型になっているのではないかとも感じている。20年後30年後も未来型図書館であってほしいし、若者の存在は大きい。世代間の中で受け継いでいくものもあり、それが常に未来を見据えるような発想をしていきたい。そういったようなカタチでリビングラボを進めていけると良いし、例えば今の小学生や中学生が話し合いに加わった時に彼らが開館後には大学生になり、その下の小学生くらいの子たちが加わって小松の未来を語り合う。これがずっと続いていくことでこの施設も未来型であり続けると思う。大学生も小松で学んだ小松モデルを全国に広く発信し発想が広がっていく期待もある。若者をいかに巻き込んでいけるかが開館までや開館後のリビングラボにとって大事だと思っている。」
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(野末教授)
「小松にとって大学があることも重要なポイント。大きなメリットである。
今日は小学生も参加している。様々な世代や職種が参加しているが、中高生は部活動などがあり、参加が難しい中、市は全中学校や近隣の高校に行って出張リビングラボを行った。そこまで行っているのは小松だけではないかと思っており、世代を超えて徐々に育てて進化させていくことが大事だと感じた。続いて安岡准教授には、これからの小松のリビングラボに期待することや継続させていくためのヒントやアドバイスをいただきたい。」
(安岡准教授)
「これからは活動などが柔軟に広がっていってほしい。みんなで協力してできあがっていくと感じており、皆さんが友人を誘うことや、市の方でのリソースづくり、舞台づくりなど簡単にみんなが参加できるような取り組みなどがまだまだできる余地がある。そこには活動を続けていくためのヒントもある。挑戦したいことや思いがあることをうまく外に出すことや賛同者を見つけること、初めの一歩を踏み出すことが難しい。その初めの一歩を踏み出すサポート環境があることで100人、300人、500人、10万人に広げていけるのではないか。出張リビングラボなど細かい部分でトライアルすることもリビングラボにとって大切である。」
(野末教授)
「吉田氏には市民の皆さんが施設・機能づくり(ハード・ソフト面)などに参加する面白さやこれから様々な人(スケートボードを楽しんでいる若者など)が参加したくなるようにはどうしたら良いか伺いたい。」
(吉田氏)
「スケートボードの話になると、そういったカルチャーの本があったり学べる環境があったり、ストリートカルチャーの要素があり、図書館でも様々なことが知ることができると若者も面白いと思うのではないか。スケートボードをやっている方や関係するアートや映像、音楽をやっている方も興味が出るのではないか。空間をつくっていくこと以前に、こういった場に参加できていることが、すでに当事者の感覚を得ることにつながり、取り組みの輪が広がっていくきっかけになる。これまでであれば、市が決めて整備した施設を利用し、市民は何も意見ができなかったり、完成してからケチをつけたりすることが今までの体質。小松市で市民のみんなと意見をくみ取って組み立てていくこと自体が未来型であるし現在未来進行形という感覚でいる。」
(野末教授)
「まさにその通りだと思う。リビングラボは実生活の場でチャレンジができていくことを改めて感じた。未来型図書館でそれをどう体現していくか、未来に繋いでいったら良いかを次の皆さんとのグループワークで考えていきたい。答えは皆さんの中にあると思うのでみんなで共有していきたい。」
と野末教授にトークセッションを締めくくっていただきました。
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約40分間という短い時間でしたが、市長やアドバイザーの皆さんから様々な視点でお話を伺うことができました。
トークセッションの後は、グループに分かれて「リビングラボのロードマップを描こう!」をテーマにワークショップを行いました。
と、その前に・・・
恒例の、未来型図書館づくり推進チームによる寸劇を交えたワークショップの説明も!
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そして、今回はなんと・・・今年度の最終回ということで「スペシャルバージョン」でお届けしました。特別ゲストとして・・・
宮橋市長にもご参加いただきました!!
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毎回、未来型図書館づくり推進チームのメンバーは、一生懸命練習に励んで本番に臨んでいます。その様子を少しだけお見せします・・・!
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どんなことにも一生懸命取り組む未来型図書館づくり推進チーム。みんなで楽しく真剣に様々なことに頑張っています!
ワークショップの説明も終わり、いよいよグループワークがスタート!
この「リビングラボのロードマップ案」をもとに、これまで参加してきて感じていることや、来年度以降のリビングラボで取り組みたい活動や将来像などについて考えました。
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ワークショップで使用した模造紙がこちら。
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みなさん真剣に付箋に自分の思いなどを書き込んでいきます。
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付箋に書き込んだ後は、グループのメンバーと共有していきます。
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安岡准教授も各グループを回ってくださり、アドバイスなどをいただきました。
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また、昨年度の第2回リビングラボでも登場した「自立走行型パーソナルロボットtemi」による参加者も!デジタルの活用により、リアル参加ができなくともこうして遠隔地から参加できるのはすごいですよね!
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グループワークが終了し、いよいよ全体共有の時間です!
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こちらのグループでは、
「私たちにとってリビングラボは『安心な環境で、イキイキと活動する~多様なわたしたち「こまつリビラボ人」の場』と定義。これまで参加してきて様々な人の意見が聞けて楽しかったといった意見や開館準備や本の引っ越しなどのボランティアとして参加したい、開館後も高校生や大学生がアルバイトとして関わることができると良いなどといった意見も。また、これからもみんなが気軽に参加して意見が言える場であってほしいし、生活の質の向上につながり、市民のみならず外部の人も含めてシビックプライドを醸成できると良い。」といった発表を行っていただきました。
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こちらのグループでは、
「リビングラボに参加してきて感じたことについては、大きく3つあり、様々な意見交換ができる場であることや世代を超えて参加者の雰囲気が良く家族のように安心して意見が言えること、小松の魅力を感じられたことが挙げられる。また、建設時には、解体予定の公会堂には、結婚式や吹奏楽の演奏会などみんな様々な思い出があるので、ドローンを活用した取り組みであったり市民が参加したお別れ会なども行いたい。開館準備時には、テーマ配架についてみんなで検討したいと思っており、ビブリオバトルの聖地になるほか、小松に訪れたら未来型図書館に行ってほしい!と紹介したくなる施設になってほしい。」と共有いただきました。
各グループより、今後の様々な活動案、将来像などについて発表いただきました!これから、皆さんの思いやアイデアを盛り込んだロードマップにブラッシュアップしていきます!
全体共有後には、宮橋市長やアドバイザーの皆さんより講評をいただきました。
(宮橋市長)
「今年度を通じて多くの皆さんにリビングラボに参加していただき、未来型図書館づくりにとって貴重で宝のような時間を過ごすことができた。当初から市民と共に創ることを大事にしてきたが、施設が完成した後もリビングラボの活動が続いていくことが大事である。運営面もこれから検討していくが、市民がサービスを受ける側だけでなく、新しい施設を一緒につくっていくことも重要だと感じた。ボランティアやアルバイトなど若者が携われるような工夫も考えたい。いよいよこれから4年間のひとつの区切りとなって、新たに開館に向けた準備に入っていくが、その際にも皆さんには参加いただき共に取り組んでいきたい。市としては、こういった場をつくることはもちろん、財源の確保も重要な役目。必要な財源を国や県と協力して確保し、皆さんの想いを少しでも実現できるよう努めていきたい。今回ご参加いただき改めて感謝を申し上げたい。」
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(野末教授)
「問いも答えも皆さんの中にあることがわかった。1年間関わることができて幸せに思う。これからはこうした活動を広げていくことも大事であり、皆さんに1つ宿題を出したい。まだリビングラボを知らない家族や友人、近所の人など5人に今日の話などをして声をかけてほしい。その5人がまた声をかけると10万人に広がっていくと思っている。」
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(杓谷教授)
「グループワークに参加して非常に楽しかった。この最後に楽しかった気持ちで終わることが大事であり、次につながると思う。今日は過去最多の参加者であったが、まだ1,000人に1人。野末教授の宿題に挑戦してほしいし、これからもみんなで楽しく活動を続けていきたい。」
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(安岡准教授)
「ようやく小松に来ることができて、皆さんとお話できて有意義な時間であった。様々な人たちが様々な意見を持っていることが見えてきたし、参加のカタチはいろいろある。これからもどんどん広げていってほしいし野末教授のお話のように5人に声をかけると10万人になる。自身も小松市民ではない立場で何ができるかを考えたときに外に発信したり、遠隔地から参加したりするなどといったカタチで関わっていきたい。」
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(吉田氏)
「今回参加して、自分の責任でアイデアを出したが責任もあれば他力本願ではないが、良い意味で、皆さんのアイデアに気が付いたり、委ねたり、共感したりなど様々な気づきがあるような他力本願が面白いと感じた。みんなの発表を市長が目の前で聞いている光景も素晴らしく郷土愛にも繋がると思う。市長がみんなの意見を聞いて、みんなで意見を出し合いカタチづくっている小松市が今日また好きになり、みんなでこういった活動をどんどん進めていきたいと思う。」
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終わりに、2月20日(木曜日)に開催されるトークセッション「小松市×フューチャーセッションズ【市民と行政がつむぐまちづくり:市民ファシリテーターと描く小松の未来】」に登壇される「イノベーションファシリテーター養成講座」の修了生の方々からトークセッションの告知をしていただきました。どんどん活動の輪が広がっていて素晴らしいですね!
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最後に、参加者の皆さん全員で記念写真を撮って今年度の最終回のリビングラボは幕を閉じました。
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今年度のリビングラボも、毎回新たな参加者の方も迎えて、世代や職種を超えてみんなで楽しく取り組むことができました。
このリビングラボを動かし、育てていくパワーの源は市民の皆さんであることを実感しています。「市民と共に創る」プロジェクトを体現するこのリビングラボをこれからも皆さんと共に開館後の未来にも繋いでいきたいと思っています。
来年度は未来型図書館づくりも新たなステージへと移ります。リビングラボ自体もステップアップしながら、引き続き皆さんと一緒に楽しく活動に取り組んでいきたいと思います!来年度も皆さんのご参加を心よりお待ちしています。
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!!
また、安岡准教授もご自身のnoteに今回の記事を書いてくださっています!
安岡先生、ありがとうございます!!
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