第5回「未来型図書館を共に創る!こまつリビングラボ」を開催!
令和6年2月4日(日)に第5回こまつリビングラボを市役所にて開催。
今回も、60名を超える多くの方々にご参加いただきました!
今年度最終回となる第5回は、これまで様々なワークショップ(未来型図書館の機能・サービスの具体化・ゾーニング図の作成・まちとの回遊性方策の検討など)を開催してきましたが、一旦ここで立ち止まり、これからのリビングラボのあり方やリビングラボを通じたまちづくりについて、市民の皆さんと考えるため「リビングラボの小松モデルを考えよう!」をテーマに開催しました。
まず初めに、宮橋市長よりご挨拶をいただきました。
宮橋市長からは、
『1月1日の地震では、本市においても震度5強を観測し多くの被害が発生した。幸いにも、小松市では尊い人命が失われる事態には至らなかったが、現在、市内のインフラ等の復旧と共に能登地域への支援について全力で取り組んでる。能登への支援にも取り組みながら、通常業務も着実と進め、石川県の復旧・復興に向けて小松市から先駆けて石川県を元気にしていきたい。』
『来年度はさらに未来型図書館づくりの具体化を図る「基本計画」策定を目指す。これまで一つ一つ具体化してきたことをさらに基本計画に繋げていきたい。今後の設計・建設に向けた大事なステップになるため、引き続き、このリビングラボの活動にご参加いただき、一緒に基本計画づくりに取り組んでほしい。』
とのご挨拶をいただきました。
そして、リビングラボのコーディネーターを務めていただいているのはこの方!青山学院大学教授の野末 俊比古(のずえ としひこ)先生です。
今回のトークセッションにおいては、ファシリテーターを務めていただきました。
また、今回はスペシャルゲストとして、リビングラボの先進国であるデンマークより、ロスキレ大学准教授の安岡 美佳先生にもオンラインでご参加いただきました。
デンマークと日本では、時差が約8時間!(日本の方が早く進んでいます)
この日は14時スタートだったため、早朝からのご出演でした・・・!
安岡先生、朝早くから、本当にありがとうございました!!
みなさんをご紹介させていただいた後、まずはこれまでのリビングラボの振り返りからスタート。
リビングラボでは、ワークショップの説明や振り返りの際に、職員による寸劇を取り入れています。(以外にも好評なのです)
少しでも、市民の皆さんにわかりやすく、楽しい雰囲気などが伝わったら良いな!との思いでスタートさせました。これからも、皆さんに楽しんでもらえるような工夫を凝らしながら取り組んでいきます!
続いて、話題提供として、「こまつ子ども司書クラブ」と「図書館エディターこまつオルワ’s」のメンバーによる活動紹介を行いました。
これまでの活動内容の紹介やクラブ活動で感じたこと、これからの決意などについてお話いただきました。皆さん、元気いっぱい発表できましたね!
子ども司書クラブについては、この未来型図書館noteでも情報発信しているほか、市ホームページでも活動の様子を掲載しています。
https://www.city.komatsu.lg.jp/soshiki/1009/zinzai/16059.html
続いて、図書館エディターこまつオルワ’sのみなさん。
図書館エディターとは、小松市の「ヒト・モノ・コト」に目を向け、地域コンテンツの編集・発信方法を学び、未来型図書館の企画運営を支える人。
芦城公園周辺の店舗等への取材やコラムの執筆、小冊子の完成などを報告いただきました。
詳しくは、市ホームページをご覧ください!
https://www.city.komatsu.lg.jp/soshiki/1009/zinzai/15118.html
活動紹介の後は、いよいよ安岡先生のご講演。
「北欧の事例を交えたリビングラボの役割」をテーマにお話いただきました。
まずは、北欧のリビングラボの定義をご紹介いただきながら、
共創(Co Creation)が大切なポイント。(北欧では社会システムの構築の鍵が「共創」と言われているそうです)
みんなで一緒に集まって、長期にわたって、創り続けていくことが核となることをお話いただきました。
また、コペンハーゲンの水害対策の取組みをもとに、「地域づくり」の観点から、地域住民や企業、行政が一緒になってワークショップを開催し、専門家も巻き込みながら解決策を見出していった事例についてご紹介いただきました。やはり、自分たちが住んでいる地域の問題解決には、いかに「自分ごと」として関わりながら、様々なステークホルダーと連携・協力していけるかが重要であると感じました。
さらに、先生からは「自分たちがこうしたい」「こうしたらいいんじゃないか」という思い(=共創)が基盤となり、まずは市民が集まること、そしてそこからアソシエーションが起こることが大事であると教えていただきました。
また、こちらは、安岡先生にご紹介いただいた北欧のリビングラボにおける8個のマニフェスト。
北欧では、「リビングラボ」という言葉を使っていなくても、その考え方が根付いているそうです。
また、大事なポイントとして、私たちは、目に見えるものだけを見がちですが、リビングラボをしたいから建物をつくる訳ではないということ。その本質や背景になっていることなどを深く掘り下げて考えることが大事だと教えていただきました。
そして、リビングラボは日常生活の実証実験の場であって、重要なのは「当事者意識」。自分や地域の課題に主体的に取り組んでいるか、トライアンドエラーで模索しているか、そういったことをみんなで行う場として「リビングラボ」があるということをお話いただきました。
大切なのは、物理的なものがリビングラボではないということ。建物があると集まりやすいですが、建物がなくてもリビングラボは実践できますね。
また、リビングラボに取り組んでいくうえで、「相手を知ること」や「理解を深めること」「理解して伝えていくこと」「変化を受容すること」「創って変え続けていくこと」も大切だということをお話いただきました。
その他、市民主導の音楽フェスの事例や、市民対話を継続しながら様々なサービスやイベントが開催されている図書館(DOkk1)の事例などについてもご紹介いただきました。
そして、小松市のリビングラボについては、
『小松市のリビングラボは面白く、日本のリビングラボのカタチをつくっていっていると思う』
『基本構想のコンセプトなどをみても、みんなで未来型図書館を言語化、可視化している点が良い』
『様々な人が参加しているのも素晴らしく、市民のアソシエーションが創られていて、みんなが自分の想いを持って、アイデアを持ち寄ってプロジェクトが実施されているように伺える』
とのコメントをいただきました。
講演の最後には、
『北欧のリビングラボはみんなで模索しながら、主体的に幸せを追求している。小松市のリビングラボも、足元をみつめながら、みんなで創っていくことが成功の鍵となる。芽がたくさん出てきているように感じており、これからも小松市の取り組みに注目していきたい。』と締めくくっていただきました。
安岡先生のわかりやすく丁寧なお話に、参加者の皆さんは熱心に耳を傾けていました。少し難しいように感じる「リビングラボ」ですが、私たちの暮らしが活動の舞台であって、そこに暮らす私たちみんなが「自分ごと」として、様々な課題に向き合いながら、一人一人の幸せを追求し、まちの未来を創り続けていくための大切な場となることを改めて感じました。
安岡先生のご講演の後は、野末先生のファシリテーションのもと、宮橋市長と安岡先生による対談形式のトークセッションがスタート!
今回は、野末先生にご紹介いただいた、リアルタイムのアンケートツール「イマキク」を活用し、参加者の皆さんの思いや意見などをお聞きしながら行う参加型のトークセッションに挑戦。
まずは、イマキクの使い方について、野末先生よりレクチャーしていただきました。
とても簡単に使用できるので、世代を問わず、様々な場面で活用できそうですね!
安岡先生の講演を受けて、宮橋市長からは、
『安岡先生にご紹介いただいた8つのマニフェストが印象に残っている。 一つ一つの項目が面白い。日本は失敗が許されない雰囲気、文化があるが、失敗を許容する、トライアンドエラーが許容されているというのが北欧の考え方なのだと感じた。一方で、単純に何でもやってみるのではなく、きちんとしたエビデンスに基づいて、データを活かしながら取り組んでいるのがポイントだと思う。また、「創って変わり続けること」が大事であるとの点については、未来型図書館づくりは、単なる施設づくりではなく、日常的に対話をしながら、市民生活やまちづくりにとって良い変化が生まれ続ける場所を創りたい、という思いで取り組んでいる。リビングラボの考え方が未来型図書館づくりと親和性があると改めて認識した。』
とのコメントをいただきました。
また、安岡先生からは、
『トライアンドエラー、間違いを許容するのはなかなか難しいこと。北欧はうまくいっているように思えるかもしれないが、苦労していることもあるからマニフェストを作成して取り組んでいるのだと思う。少しずつでも良い方向に進んでいけるツールとして活用している。』
『これまでの小松市のリビングラボの取り組みについては、子どもたちからシニア、若い女性など様々な人が集まっていること、そして市長が参加されていることがすごい。一見、一致団結しているが、マネジメント層やリーダーの参画が進んでいないケースも多く活動が頓挫するパターンもある中、様々な人がコミットしていることが素晴らしい。』
『ワークショップにも参加したいくらい楽しそうな雰囲気が伝わる。写真を見ていてもアクティビティが盛んなところであると受け取れ、一人一人が意見を出し、みんなで対話している雰囲気が伝わってくる。』
『おこなったことをきちんと可視化して伝えている点も良い。WEBサイトに報告書として掲載し、みんなが見てわかるようにビジュアル化したり、みんなで考えてきたことを未来予想図として可視化している点も良いと思う。』
『1つアドバイスするならば、様々なメディア・チャネルがあるなかで、冊子やHP,noteなども活用しているが、もっともっと情報発信の面でできることがあると思う。世代によって使用しているチャネルが異なるため、色々なチャネル、方法で情報を流すことが大事。』
『これだけ市民や行政、議員の方がフラットに対話している場は北欧からみても珍しく、誇っても良い点。』
とのコメントをいただきました。 嬉しいですね!!
イマキクでは、安岡先生の講演や宮橋市長と安岡先生の対話の感想・質問などについてたくさん投稿されました。
トークセッションの中盤では、野末先生より、全国の公共図書館の事例も交えながら、未来型図書館づくりが単なる施設づくりにとどまらず、まちづくりにも繋がるプロジェクトであることをお話いただきました。
野末先生からは、
『図書館の役割は、利用者と資料や情報を結ぶだけではなく、「活動」を結ぶ次の段階に来ており、小松市の未来型図書館づくりはまさにこれに該当する。みんなの活動を図書館が支えていき、まちづくりや生活の中心となり、生活がより良くなっていくことに図書館が貢献する。そのためには、テクノロジーの活用や「利用者協働」という視点が大切であり、「想い」と「ニーズ」のマッチングや何が必要なのかを見極めていくこと、優先順位のつけ方が大事である』とのお話をしていただきました。
また、宮橋市長からは、昨年12月に完成した「小松市2040年ビジョン」についてもご説明いただきました。
「裏日本」という言葉はあまり良い言葉ではなかった。しかし、裏技や裏メニューなど良い言葉もたくさんある。「裏」という言葉には、「知る人ぞ知る」という意味もあり、小松市では良い意味で捉えて使用している。時代の変化とともに価値観も変化しており、あえてカタカナにして、新しい意味での裏日本、これから逆襲をしていこうというメッセージを込めている。
未来型図書館については、60年間同じ景色だった芦城公園エリアが一変するプロジェクト。「図書の館」ではなく、みんなが集い、活動できる場所となり、快適さや便利さ、幸福感が感じられるキーステーションを目指していきたい。
とのお話をいただきました。
後半では、安岡先生より、未来型図書館ができるまでにリビングラボが担える役割や未来型図書館を拠点に、まちづくりへ展開する上でのヒントなどについて伺いました。
『まずは、リビングラボの「もの」「こと」の部分を大切に。図書館は「もの」であると同時に「こと」が起こる場所。そこを充実させていくことが大事であり、活動のためのインフラ整備やプラットフォームの充実に取り組んでほしい。2040年ビジョンもとても素晴らしい。あるべきまちの姿が描かれており、現在からの出発ではなく、バックキャスト思考で描かれており、これからマイルストーンをどのようにつくっていくのかが重要となってくる。
小松市には様々な芽がいっぱいあり、小松の特徴やまちのアクティビティを可視化していくことも大事。人の能力の拡張もできるデジタルの活用も大事にしていってほしい。』
『未来型図書館が整備された後は、これまでの活動をどのように続けていくのかが大事。そのためにも場所があることが大事。今から、長期的な視点での仕組みづくりに取り組んでほしい。それぞれの人がやりたいこと、こうなったらいいという思いを後押しするサポート体制も大事。短期の資金提供やアドバイザー、場所を活用したいときのレクチャーだったり建物を組み合わせて様々なサービスを提供することも大切。後は、情報などを外に出すことや可視化するなど、様々なチャネルを使って呼びかけていくことを継続的にできると良い。』
とのアドバイスをいただきました。
また、これまでのトークセッションを受けて、「小松市がどんなまちになってほしいか」といった点について参加者の皆さんにお聞きしました。
また、「リビングラボがこんなふうになったらいいな」「リビングラボでこんなことをしてみたい」といった質問には、
『どんどん波及していくリビングラボ』
『町内くらいの小さい単位でもリビングラボが盛んに行われたらいい』
『市民全員参加』
『小さなやってみたいを実現できるよう応援して実現する場所』
『ネット参加型のリビングラボ』
など、様々なアイデアが投稿されました。なるほど〜!と思う投稿がたくさんありますね。
そして、まとめとして、未来型図書館づくり、さらにはリビングラボにおいて、「自分が何をしていくか、今からできるちょっとしたことや小さな一歩」について宣言や抱負を投稿していただきました。
このほかにも、
『みんなに今日の話を伝える』
『小松市をもっと好きになる』
『次は誰か「1人」でも、連れてきます』
『小松市民であることに自信を持つ!』
『未来型図書館の魅力を、周りの人へ発信する。』
など、参加者一人一人の決意が伺えます。
トークセッションの最後には、安岡先生と宮橋市長よりコメントをいただきました。
●安岡先生より
今回のリビングラボではエネルギーをもらった。北欧はリビングラボの先進国と言われているが、小松市のみなさんの中からは私の思いつかなかったような様々なアイデアがたくさんでてきていた。そういった思いなどを大切にしながら活動を進めてほしい。小松市のリビングラボはきっと、素晴らしいものになるであろうし、日本や世界に類を見ない試みになると思う。
●宮橋市長より
今年度の最後に良い振り返りできたと感じており、私も来年度に向けたエネルギーもらった。未来型図書館については、自分が言っていたのはこの言葉だけであり、中身や何が「未来型」などはまったく決めていなかった。1年目の時には勉強会や調査・研究を行い、2年目からは図書館エディターや子ども司書養成講座など、開館を見据えた人材育成をスタートさせた。未来型図書館は何もなかったところからスタートしたプロジェクトであり、安岡先生にも何度もおっしゃっていただいたが、「可視化」できるところまできたのが成果であると捉えている。これから、より明確なものに、絵を描いたものを実現していくため、来年度は基本計画づくりに取り組んでいく。より良い計画にしていくためにも、みなさんには継続して参加してほしい。そして、身近な人と日常的に様々なお話をしていただくことで、リビングラボが充実し、まちづくりにも活かされると思う。
とのコメントをいただきました。
野末先生の素晴らしいファシリテーションにより、楽しくあっという間のトークセッションとなりました。野末先生、本当にありがとうございました!
最後に、市長、野末先生、安岡先生と参加者のみなさんで記念撮影を行い、第5回リビングラボは大盛況で幕を閉じました。
リビングラボにご協力いただいた先生方、参加者のみなさん、本当にありがとうございました!!
来年度もワクワク、楽しいリビングラボ、未来型図書館づくりに取り組んでいきます。
また、今回のリビングラボについては、後日市ホームページに動画を掲載する予定ですので、お楽しみに!