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「みどり号は宝箱!宝物を見つけにおいで!」 

小松市の移動図書館「みどり号」は、昭和60年(1985年)10月1日から、図書館まで来ることが難しい人のために市内各地を巡回して図書館サービスを提供している。今、小松市内を走っている車は2代目で、平成11年(1999年)10月1日からもう24年間走り続けている。

みどり号には、定年退職後のシルバー人材センターの会員の方が乗られている。中本正英さんもその内の一人で、ゲームキャラクター「マリオ」の格好で子ども達に大人気だった。「だった」というのは、10年間勤められていたが、令和5年9月で移動図書館の「マリオ」を引退されたのだ。多くの子が「何で辞めるん?」と、中本さんの引退を惜しんだ。

みどり号に乗って「マリオ」が現れると、子ども達は「マリオだー!」と言って駆け寄ってくる。しかし、10年前中本さんが移動図書館業務に就いた時、ある小学校では半年間通っても一人も児童が来なかった。中本さんは、子ども達に本を借りなくてもまず来てほしいと考えた。そこで、マジックショーをしてみたり、飴を配って(学校から注意をされて納得)みたりの試行錯誤が始まり、引退されるまで、折り紙でおもちゃや人気キャラクターを作って、本を借りた子にプレゼントしてくれるのがとても人気で定着していた。

「マリオ」になったきっかけは、7年前、市内の朝市に奥さんと行っていたら「マリオだ!」と一人の子供に言われた事だ。「自分の事?」と思ったが、奥さんも「そう言われてみたら・・・」と言うので、「マリオ」の服探しを始めた。帽子はなかなかいい物が見つからないので、お嬢さんが手作りしてくれて「マリオ」が完成した。初めて「マリオ」姿で学校に行ったときは、対応した先生がとてもビックリしていたそうだ。

「みどり号は宝箱。人が来ないみどり号は、宝の持ち腐れ。もったいない!」と、10年間どうしたら子ども達に本の良さが伝わるのか、と行動されてきた。きっと子ども達の本との出会いに少なからず貢献されてきたはずである。人に頼まれたら断れなくて、好奇心、サービス精神が旺盛なお人柄の中本さんだが、今後の活動については全く考えていないそうだ。しかし、ボーっとしていても時間は過ぎるが、人間は楽しく生きないと!と、今まで行動をされてきた方、まだまだ多くの人を喜ばせてくれそうだ。

子ども達の人気者
みどり号の名物「マリオ」こと中本正英さん