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「穏やかな時間が流れる、喫茶フローラ」         

上品でレトロさを感じる店内、窓の外には日本庭園。ゆったりとした時間が流れる中で味わえる自家焙煎珈琲。人気のオムライス、喫茶店のナポリタン、たまごサンド。
写真を撮りたくなるラテアートに、炎がきらめく焼きアイス、コーヒー店ならではのカフェラテかき氷など、こだわりの自家製メニューの数々。

小松市役所や芦城公園の近くにある「喫茶フローラ」。1972年に両親が創業したお店を継ぐ、二代目マスターの道男さん。大学では有機化学を学び、卒業後に料理の勉強をしたそうだ。穏やかな口調で話すダンディーなマスターに、お話を伺いました。

未来型図書館に期待することは、芦城公園内という立地を生かした開放的な図書館。
せっかくの絶景を目の前で楽しめるよう、壁を無くした開放的な空間で読書を楽しむことができる、ここにしかない図書館ができることを期待しているとのこと。
図書館では静かに!という窮屈さもなく、自然の空気やざわめきを楽しみながら読書ができる空間。子供に絵本を読み聞かせながら一緒に笑ったり、好きな本の感想を語り合ったり、公園で犬を散歩している方との会話を楽しんだり。自然を感じる心地よさの中での読書は、ちょっとお昼寝をしたくなるかも。
そんな誰もが過ごしやすい図書館ができるといいな、と想像が膨らみます。

未来型図書館の立地場所である芦城公園には、ラジオ塔が現存しているそうだ。ラジオ塔とは、まだラジオが普及していない時代に付近の住民へラジオ放送を聞かせるために建てられたものだという。他にも芦城公園内には植物化石の珪化木や、数々の銅像があることも教えていただいた。
私には知らない芦城公園の話を聞き。例えば、公園内の名所をスタンプラリーで巡りながら、最後の謎解きは図書館の本を調べてみる。そんな芦城公園と図書館を結びつけた企画を考えることも楽しいのではないでしょうか。

コーヒーを入れる姿も絵になる、ダンディーなマスター。

マスターには好きな本も紹介いただきました。

■レイチェル・カーソン著「沈黙の春」(新潮文庫)
マスターからは「サイレント・スプリング」という原題のタイトルを紹介いただきましたが、現在は上記のタイトルで出版されていました。
海洋生物学者のカーソンが、化学薬品が人体や生態系に悪影響を及ぼすことを世界で初めて告発した本。いまではよくある話のように感じるが、驚くのはこの本がもう60年以上も前の1962年に出版されていることだ。
作者のカーソンは、この本を出版した2年後に亡くなった。もしカーソンが生きていたら、あれから60年経った現在の世界についてどう感じるだろうか。

■フランツ・カフカ著「変身」(新潮文庫)
ある朝、巨大な虫に変身してしまった息子を、次第に疎むようになる家族。彼が息絶えると家族はホッとして晴れやかに終わる、人間の怖さが印象深い作品とのこと。
虫になってしまったグレーゴルは、いままでのように自由に動けない不便さや、仕事に行けないことに悩み。誰かに相談することもできず、孤独感を募らせていく。それに対する家族からのあからさまな拒否感。
グレーゴルが虫になったことを誰も追及しないのは、彼の姿が変わったのではなく、錯乱して思い込んだだけなのか。この話の主題は「変身」なのか「変心」なのか。改行が少ない淡々とした文体が、よけいに不気味さを感じる作品だった。

誰でもきっと好きな本が見つかる、バラエティ豊かな本棚。

フローラの本棚には、コミックだけではないたくさんの気になる本がありました。コーヒーの入れ方やレシピ本、お茶や骨董に関する本、旅行本やいろんな図鑑、小松に関する本など。マスターの趣味だけではなく、常連さんから寄贈されたものもあり、バラエティ豊かなものとなっているそうだ。
おいしいコーヒーと本を片手に、上質なオトナの時間を楽しんでみてはいかがでしょうか?